ポル・ポト時代の収容所所長
カン・ケック・イウ受刑者が死亡

カンボジア通信 No.20/60
  2020年9月3日版 

1975年から1979年のポル・ポト政権下で、政治犯収容所S21(現トゥールスレン虐殺博物館)の所長だったカン・ケック・イウ(通称ドゥイ)受刑者が9月2日、プノンペンの病院で死亡した。77歳だった。

 ドゥイ受刑者は、スパイ容疑などで連行された人々を収容した施設「S21」を責任者として運営していた。S21では、記録があるだけで12,000人余り、実際にはもっと多くの人たちが収容され、拷問で自白を強要された後に郊外のチュンエック(キリングフィールド)で殺害された。

 ドゥイ受刑者は、1999年にカンボジア政府によって身柄を拘束された。2009年にはポル・ポト派の元幹部を裁く特別法廷において本格審理が始まった。2012年には、人道に対する罪などで最高刑である終身刑の判決を受け、刑が確定した。

 特別法廷は、国連との共催で設置されたカンボジアの国内法廷で、ポル・ポト政権の元幹部が、虐殺や人道に対する罪などに問われている。最初に審理が始まったドゥイ受刑者の「ケース1」のほか、政権の最高幹部4人が裁かれている「ケース2」などがあるが、ケース2においてもすでに、ポル・ポト元首相に次ぐ「ナンバー2」といわれたヌオン・チア被告をはじめ、4人の被告のうち3人が死去している。

ポル・ポト政権下にあった4年弱の期間に、カンボジア国内では170万人ともいわれる人々が命を落とした。特別法廷は同政権による極端な共産主義を「人類史上まれにみる犯罪」と断じているが、さまざまな事実の解明は時間とのたたかいになっている。

 


[日本カンボジア協会のご入会 ]
  こちらよりご覧ください

Related Articles

メニューを閉じる