アン・チュリアン教授に旭日中綬章

カンボジア通信 No.22/30
4月29日版


カンボジアを代表する民族学者である王立芸術大学のアン・チュリアン考古学部教授(72)が4月29日に発令された「春の叙勲」で、「日本・カンボジア間の学術交流及び相互理解の促進に寄与した」として、旭日中綬章を受章した。

 アン・チュリアン教授は、1949年生まれ。1974年に王立芸術大学を卒業後、フランスに留学し、民族学博士の学位を取得した。しかし、祖国の混乱でなかなか帰国がかなわず、ポル・ポト時代後にようやくカンボジアに戻り、文化復興や遺跡の保存修復に取り組んだ。

1990年には再開された王立芸術大学で教壇に立ち、アンコール遺跡群の保存や管理を担うアプサラ機構の局長として遺跡の救済に取り組んだ。内戦で傷ついた遺跡の修復を国際社会に呼びかけるなどの実績を上げた。

 また、2005年からは、「クメール・ルネッサンス」を掲げ、カンボジア人の伝統文化や生活様式に着目した研究にも取り組んでいる。2011年には、福岡アジア文化賞大賞に選ばれるなど、日本との関係も深い。代表的な著作は「クメール民族の民間信仰における超自然の存在」(1986年)。 

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