ポル・ポト派特別法廷、最後の判決 キュー・サムファン被告に終身刑
カンボジア通信 No.22/66
9月 22日
1975年から1979年の間にカンボジアを支配したポル・ポト派の最高幹部を裁く特別法廷は9月22日、プノンペンで上級審を開き、キュー・サムファン元国家幹部会議長(91)の一審における終身刑判決を支持した。これをもって特別法廷の判決は最後となり、16年にわたる法廷は終結した。
キュー・サムファン被告は、2016年に強制移住など人道に対する罪で終身刑が確定しており、この日の上級審では、チャム族の虐殺などで下されていた終身刑判決が確定した。特別法廷の最高刑は終身刑で、同被告には最高刑が確定したことになる。
特別法廷は2006年に設置され、国連とカンボジア政府の共催という「ハイブリッド型」で進められた。裁判官、検事、被告弁護、それぞれがカンボジア人と外国人の混合チームで、いずれもカンボジア人が過半数を占める形で構成された。また、被害者側も当事者として裁判に参加したことも特徴のひとつだ。
「第2ケース」と呼ばれる今回の公判で起訴されたのは、キュー・サムファン被告以外に、イエン・サリ元副首相、イエン・チリト元社会問題相、ヌオン・チア元人民代表議会議長の各被告で、いずれも公判中に死去した。また、「第1ケース」では、カン・ケック・イウ元S21収容所長が、終身刑の判決を受けたが、服役中に死去した。
特別法廷には日本政府が国際支援の約3割を担い、裁判記録を残す施設の設立に尽力するなど、大きな役割を果たした。しかし、被告がいずれも高齢であり、審理は常に時間との闘いを強いられていた。また、被告となった5人以外は審理できないまま幕を下ろすことなど課題を残した