2021年の最低賃金交渉労組は6.5%アップ、203.35ドルを要求

カンボジア通信 No.20/61
  2020年9月9日版 

カンボジア各紙によると、2021年度の最低賃金を決定するカンボジア労働諮問委員会が9月、協議を開始した。通常は7月から始まる協議だが、新型コロナウイルス感染拡大防止などのために時期を遅らせ、9月からのスタートになった。

 労働諮問委員会は、政府、雇用者、労働者代表の3者で構成され、毎年1月1日に更新される最低賃金の額について協議する。最低賃金の引き上げ額は、生産性、国内競争力の確保、

労働市場の状況など7項目を軸に検討される。2019年度には前年比約4%増の187ドルで合意。ここにフン・セン首相が3ドルを上乗せして190ドルとなった。

 9月8日付のクメールタイムズ紙によると、協議の内容は発表されていないが、労働者代表は3日の委員会では190ドルに約6%、11.59ドルを上乗せした201.59ドルを提案。しかし合意には至らず、労働者側はその後、さらに6.5%、12.35ドルを上乗せする案に修正した。

 今年は新型コロナウイルスによる世界的な大不況となることに加え、欧州連合(EU)による経済制裁も発動された。カンボジア政府による人権侵害を問題視したEUは、カンボジアからの縫製品などに対する特恵関税制度の一部を8月から停止しているのだ。カンボジア国内の経済も厳しい状況となることが予測され、経済成長率は内戦終結後初めて、マイナス成長となることが見込まれている。

 カンボジアの最低賃金は、2013年以降毎年引き上げられており、その伸び率は最大で31%(2013年)だった。しかし2020年の伸び率は2010年以降で最低となっており、さらに経済状況が悪化した状態で、2021年の最低賃金がどうなるか注目されている。

 


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