ポル・ポト派特別法廷、キュー・サンパン被告の上級審が結審
カンボジア通信 No.21/64
2021年8月23日版
カンボジアを1975年から1979年の間支配したポル・ポト派政権の最高幹部を裁くカンボジア特別法廷最高裁は8月19日、「第2事案」として審理を続けていたキュー・サンパン元国家幹部会議長(90)の上告審を結審した。判決は半年後に出される見込み。プノンペンポストなどが伝えた。
キュー・サンパン被告は2018年11月、カンボジア特別法廷初級審法廷で、人道に対する罪、チャム人・ベトナム人の虐殺、戦争犯罪などについて終身刑を言い渡された。4日間にわたる法廷で被告の弁護団は、同被告が「虐殺について最も責任のある立場にはなかった」と主張した。
カンボジア特別法廷は、国連とカンボジア政府との合意に基づき、カンボジア国内法廷として設置された混合法廷。プンペン郊外の施設に法廷が設けられた。その後の長い内戦へと続くポル・ポト時代について、加害的立場にあった人と被害を受けた人がそれぞれに証言をし、現代史を記録する貴重な機会となっている。
特別法廷では2009年に「第1事案」として、S21(トゥールスレン)政治犯収容所の元所長だったカン・ケック・イウ服役囚の実質審理が開始された。第2事案の被告は当初、キュー・サンパン元国家幹部会議長のほか、ヌオン・チア元人民評議会議長、イエン・サリ元副首相、イエン・チリト元社会問題相だったが、キュー・サンパン被告を除く3人はそれぞれ審理中に死亡した。
日本政府は裁判開始以来、国際支援の3割にあたる費用を援助している。