ケム・ソカー氏、「サム・ランシー氏と決別」
カンボジア通信 No.22/44
6月10日版
2017年11月に解党が命じられた野党「カンボジア救国党」の創設者で党首だったケム・ソカー氏は6月15日、同党共同創設者で海外に滞在中のサム・ランシー氏について、「海外でのサム・ランシー氏の活動は支持していない」と述べ、同氏と決別した、と述べた。同日開かれたケム・ソカー氏の反逆罪を審理する法廷で語られた。クメールタイムズ紙が報じた。
同紙によるとソカー氏は、「サム・ランシー氏は、(6月5日に投票された)地方選で、キャンドルライト党とともに独自の道を歩み始めた」と、述べたという。
サム・ランシー氏とケム・ソカー氏は2012年、それぞれが率いていたサム・ランシー党と人権党を合流させてカンボジア救国党を結成。フン・セン首相のカンボジア人民党に対する最大野党勢力として急速に支持を伸ばし、2013年の総選挙では123議席のうち55議席を占めた。
しかし2017年、「外国と共謀して国家転覆を謀った」として党首だったケム・ソカー氏は逮捕、救国党は解党に追い込まれ、サム・ランシー氏は国外へ逃れた。最大野党を欠いたまま実施された2018年の総選挙では、与党・人民党が国民議会のすべての議席を独占した。
6月5日投票された地方選では、救国党の流れをくむ政党が複数設立され、そのうち最大のキャンドルライト党は、全投票数の18%を獲得。来年2023年の総選挙を前に、野党勢力の「再生」が始まっていることをうかがわせた。
ただ、クメールタイムズ紙によるとケム・ソカー氏は、選択肢がないとして地方選の投票には行かなかったという。また、現在は政治的な活動を禁止されているとして、「政治活動が認められれば、記者会見を開いて自分の新たな立ち位置について説明する」と、している。