縫製工場労働者に安全な通勤を 増える交通事故死

カンボジア通信#19
2019年11月7日版

カンボジアの縫製工場労働者(主に女性。以下、労働者という。)が被害に遭う交通事故が、年間1000件以上に達していることが分かった。今年は9月までに39人が死亡しており、労働者たちに安全な通勤手段を確保しようという動きが出ている。

なかでも改善が急務とされているのは、労働者たちが通勤に使用しているとみられるトラック。クメールタイムズ紙によると、こうしたトラックは国内で約4500台。これらのトラックは、元々、物資の運搬用のもので、その62%は、物資も運搬している。これらのうち、荷台に座席を設けるなど、乗車用の車両に改造しているトラックは3割に過ぎないという。そのほかは椅子もなく、利用者は手すりなどをつけただけの荷台に、日本の満員電車のように、ぎゅうぎゅう詰めに立って乗っている。

 同紙によると、主に通勤中とみられる労働者が関係する交通事故は2019年の1月から9月までに、全国で1,186件。この事故で労働者39人が死亡、1,562人が負傷した。バイクによる事故が大半の1.087件だが、通勤トラックによる事故も37件あった。昨年2018年の事故件数1,378件よりは少ないものの、死傷者数はそれぞれ37人、1,504人よりも増えており、事故の規模が大きくなっていることを示唆している。

 クメールタイムズによると、ある労働者用トラックの運転手は、「安全はもちろん重要だけれども、椅子を設置するなど自分で費用をかけてまで安全な車にする余裕がない」と、語っている。一台で荷台に50人を乗せるトラックもあるという。

 こうした現状に対し、国家社会保障基金などが具体的な改善策を検討しようと立ち上がっている。しかし、トラックの荷台に座席を設置する、といった付け焼刃な策よりも、バスやバンを利用するなど根本的な安全対策が必要、という指摘も出ている。

 カンボジアの主要な輸出産品である縫製品や靴・履物の生産は、こうした労働者たちで支えられている。最低賃金は毎年見直されて上昇しているものの、労働環境や生活環境にはまだ改善されるべき点が多い。

 

 

 

 

 

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