モニボン通り「ゴールドタワー42」からまた落下物 工事現場の安全対策に課題
カンボジア通信No.23
2019年11月21日版
11月20日午後、プノンペンの目抜き通りであるモニボン通りと、シアヌーク通りの角で建設中の「ゴールドタワー42」の42階部分から、工事用エレベーターの一部とみられる鉄の物体が落下。モニボン通りに駐車していた車両の後部座席部分に突き刺さった。幸い、怪我人はいなかったが、車は後部ガラスが割れて半壊した。
クメールタイムズ紙及びプノンペンポスト紙によると、この事故後、プノンペン都当局はゴールドタワー42の建築現場を一時閉鎖し、現場での調査を開始した。同じ工事現場で7月にも鉄の棒が落下して車のボンネットに突き刺さる事故が発生していたところ、当局は、これまで暫くの間工事は中断されていたようで、今回の落下物が元々あった場所では、綱が朽ちていた、また、都の建築規制では、公共の安全のため、建築現場の周りに金属製の柵を設置しなければならないところ、これが懈怠されていたとし、「工事再開を許可するかどうか慎重に検討する」としている。
ゴールドタワーは、韓国企業の所有で、完成すれば高さ200メートル。交通量の多いモニボン通りとシアヌーク通りの交差点にある広さ約13万平米の土地に建設され、プノンペンのランドマークともなる建物だ。多目的商業ビルとして、ショッピングモールや事務所、住居などになる予定だった。
ところがこのビルは、建築が始まって既に10年以上が経過している。事業開始は2008年、その後2009年に世界経済危機の影響を受けた施工主の経済的事情などで工事が止まり、2012年にも再度ストップした。2013年に工事が再開されたが、2017年には3度目の中断。その後、中国企業及びマカオの企業との間で投資契約の締結後に工事が再開し、2020年初頭に、ようやく完成する見込みだった。
建築ブームのプノンペンでは、あらゆる場所に工事現場がある。巨大な商業施設やニュータウン開発から、住宅地でのコンドミニアム建設まで規模はさまざまだ。建築現場の安全対策もまちまちで、今年開業したショッピングモールでも、建築中の5年前、鉄骨がバイクで通過していた女性を直撃し、女性は死亡している。また、今年6月には、シアヌークビルで建築許可を受けていなかったビルが建設中に倒壊し、作業員ら28人が死亡する惨事が起きた。
建設セクターはカンボジアの経済成長を支える産業の一つになっているが、建築許可などの法制度や、工事現場の安全対策、建設人材の育成など未整備な部分も多く、課題が多い。
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