「EUと良好な関係を」、ドイツ訪問のソー・ケン内相

カンボジア通信 #9
 2019年10月1日版 
 

ソー・ケン副首相兼内務大臣は、9月24日から10月1日まで、主として、両国関係を強化するとともに、ドイツの地方行政改革について視察するため、各省代表を率いて同国を訪問した。訪問中、連邦経済協力・開発省のアジア担当局長や連邦議会議員らと会談し、カンボジアが欧州連合(EU)と良好な関係を望んでいる旨を伝えた。

 カンボジア各紙によると、両国は、人権状況の改善と教育、保健、森林管理及び治安の分野における開発面で協力関係を強化することに合意した。また、カンボジア側は、国境を越えるあらゆる形態の犯罪の取り締まりや人材交流計画、治安面の人材育成及び地方分権の経験の伝達についてドイツ側に協力を要請するとともに、ドイツの市町村レベルの地方行政について理解を深めるため現場を視察した。右視察に当たっては、行政インフラのほか、教育、保健、廃棄物管理及び天然資源管理の分野における権利義務関係や公共サービスが主なテーマであった。

カンボジア内務省は、会談後の発表で「ソー・ケン内相は、EUのカンボジアに対する特恵関税措置と、双方の良好な関係が維持されることを望んでいることを強調した」と、している。また、内相は「カンボジアは、過去の体制変更が内戦をもたらした経験に鑑み、現在のような自由な複数政党による民主主義が、国の平和と発展を実現する唯一の手段だと考えている」とも述べたという。各紙は、ドイツ側が、カンボジア政府による反汚職対策、法整備や司法改革、行財政改革などについて成果があった旨評価した、と伝えている。

  また、ソー・ケン内相は、在独カンボジア人との会合で、EUのみならず、米国とも、引き続き、特恵制度の維持について交渉中で、双方との間で良好な外交関係の継続を図っている旨説明するとともに、政府主催の公共フォーラムを国内のすべての地域で開催しており、国民から直接、意見、懸念や要請を聴取し、これらを基に、政府の各部署では、国民の抱える多くの問題を効果的に解決している旨強調した。

 EUは、2018年7月のカンボジア総選挙前に、カンボジア政府が当時の最大野党勢力や人権団体、米系メディアを弾圧したとして、同国に対する特恵関税措置の見直しを検討している。EU側は調査団を派遣するなど、特恵関税の資格停止に向けた手続きに入った、としているが、結論はまだ出ていない。

 他方、先週、在カンボジア欧州商工会は、EUが特恵関税措置を廃止するとカンボジアにおけるEU諸国の投資や企業及びEUによる同国開発努力に悪影響を及ぼすのみならず、カンボジアの国民生活にとっても良くない旨警告を発している。

 

 

 

 



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