カンボジアのフン・セン首相は8月1日、同国内で12歳から17歳の子供への新型コロナワクチン接種を開始するにあたり、国民に向けて演説を行った。その中で、アストラゼネカ社のワクチンを、さらに免疫力を上げるための「ブースター」として3回目接種することを発表した。クメールタイムズ紙が伝えた。
同紙によると、首相のスピーチは4時間に及んだ。その中で首相は、諸国に先駆けて12歳から17歳の子供へのワクチン接種を開始することについて「誇りに思う」と述べ、12歳未満の子供への接種についても、他国の事例や世界保健機関(WHO)の動きなども見ながら、検討していきたい、とした。
カンボジア国内のワクチン接種については、7月31日までに、予定している1000万人のうち約730万人(73%)が接種を済ませており、そのうち約47万8000人が2回の接種を済ませた。そのほとんどが、中国から寄付されたり購入したりしたシノバックとシノファームのワクチンだ。首相はこの日のスピーチで、「3回目」の接種を予定していると表明し、これまでの2回がシノバックまたはシノファームだった人にはアストラゼネカを、最初の2回でアストラゼネカを接種した人には、3回目としてシノバックまたはシノファームを使用する考えを示した。アストラゼネカのワクチンについては、日本などから寄贈されている。
フン・セン首相が3回目のブースター接種に言及した背景には、収束の様相がみえない国内の感染拡大がある。7月31日現在の感染者数は77,914人で、そのうち1,420人が死亡している。また、過去24時間の新規感染者は671人。市中感染が406人と多いが、国外から感染が持ち込まれる輸入症例も265人と多くなっている。また、感染力が強いといわれるデルタ株による感染が広がっており、首相もスピーチで、「東南アジアは今、デルタ株に侵されている」と懸念を示した。
さらなる感染拡大への強い危機感を示しながらも、首相は、政府の財政は破綻しておらず、観光業など経済活動も、ワクチン接種が目標を達成すれば復活できると強調した。