カンボジア政府オンラインカジノ等の営業免許の発行を中止 違法ビジネス,詐欺の一掃のため

カンボジア通信#3
 2019年9月12日版

 プノンペン・ポスト紙などによると、フン・セン首相は、8月18日、治安と公序の維持のため、オンラインカジノ及びスロットマシーン等の賭博ゲーム機に係る営業免許は、今後発行しない旨の通達を発令した旨公表した。現行の免許は期限まで有効であるが、期限後は更新されない由。

 カンボジア在住の中国人ビジネスマンによると、オンラインカジノの営業免許保持者は中国人が多く、顧客も中国本土にいる中国人が多い。カンボジア政府の狙いは、免許を隠れ蓑に行われる、違法なビジネスやインターネット詐欺の一掃とみられる。

 実際、カンボジア司法当局は、上記の通達を受けて、インターネットを使った詐欺集団を相次いで摘発している。クメールタイムズ紙などによると、8月にはシアヌークビル及びコンポンスプーで150名の中国人がインターネット詐欺に関与したとして逮捕され、本国に送還されていた。9月9日にはプノンペンのセンソック地区で105人の中国人が逮捕されるとともに、ネット犯罪取締当局は、中国警察の協力を得て、中国人144名をトゥールコーク地区でも逮捕した。中国政府は、海外を舞台に行われるインターネット詐欺の摘発を歓迎しており、カンボジアでの摘発はこれからも続くとみられる。

 入管当局によれば、上記通達以降、中国人の入国数(9月7日までで13万人)より、出国数(同14万人)の方が多い由。

 また、9月5日付けのサウスチャイナモーニングポスト紙は、免許発行中止後、「中国人の大量帰国が始まった」として、9月初めまでにすでに10,000人以上が、カジノビジネスのメッカであるシアヌークビルを離れた旨紹介している。

 今回の取締の動きの背景には、オンラインカジノによる詐欺事件の被害者が、中国国内に多くいることから、中国当局の要請もあって、カンボジアとしても、その協力を得て対応を厳しくしたものと思われる。因みに、中国当局は、フィリピンに対しても、同様の禁止措置を要請している。

 



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