高級住宅街の「ペット」のライオン、飼い主に戻される

カンボジア通信 No.21/51
2021年 7月 6日版  

プノンペンポスト紙によると、カンボジア政府は7月5日、プノンペンの高級住宅街でペットとして飼われていたライオンを、飼い主の中国人男性のもとに返した。ライオンは6月26日に押収され、動物救護センターで保護されていた。

 同紙によると、このライオンは生後18カ月で、体重約70キロ。バンケンコン1区に住む中国人男性が、赤ちゃんの頃から育てていたという。この様子がフェイスブックで広まり、近隣住民などから安全性を懸念する声が上がっていた。バンケンコン1区は富裕層や外国人も多く住む住宅街だ。

男性はライオンを飼育するために必要な許可を得ていなかったことが分かり、プノンペンの司法当局が6月26日、ライオンの保護を決定。ライオンはプノン・タマウの動物救護センターに保護された。

 これについてフン・セン首相は7月5日、自身のフェイスブックで「農林水産大臣と話をし、しっかりとした動物の檻を用意することなど、安全性を確保することを条件に、ライオンを男性に返すことにした」と、書いた。また、「これは男性が、このライオンを子供のころから育てていて家族の一員であることを考慮した特別なケース」とした。

 この決定に対しインターネット上では、「ライオンは野生生物であり、家庭で育てられるべきではない。場合によっては人を死に至らしめることもある」との懸念の声が上がっている。また、野生生物の専門家は、「野生動物は自由に野生で暮らすべきだ。カンボジア政府が森林や野生生物を守るための法律を遵守することを希望する」と、している。

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