フン・セン首相 国境地帯こそ経済発展を

カンボジア通信#27

2019年12月26日版

プノンペン・ポスト紙によると、カンボジアのフン・セン首相は12月24日、トボンクモン州におけるダ市場開所式で演説し、「ベトナム国境地帯にさらに経済特別区を設けて、ベトナムからの投資を更に誘致し、輸出と経済開発を増進したい」との考えを示した。

 同紙によるとフン・セン首相は、「われわれは、戦争によって破壊された国境地帯を、貿易や投資で平和な協力により発展する場所にしなければならない。われわれは、ベトナム国境地帯の開発を急がなくてはならない。すでにスバイリエン州のバベットには経済特区があり、多くの工場が稼働している。このトボンクモン州にも経済特区があるが、ベトナム国境地帯にもっと多くの経済特区を設置し、ベトナムを含む外国の輸出製品向け投資を呼び込み、もって、カンボジアの農産品加工とその製品輸出を増加させたい」と、語った。

 これに対し、同開所式に出席したトリン・ディン・ドゥン越副首相は、かつての戦争地帯を変革するフン・セン首相の構想に対する評価を表明した

 カンボジア開発評議会(CDC)によると現在、カンボジアには23の経済特別区があり、490の工場で約13万人が働いている。また、ベトナム大使館の統計によれば、2018年の1年間で、ベトナムからは206件の投資案件があり、その額は30億ドルにのぼるという。2018年のベトナム・カンボジア間の貿易額は47億ドル以上で、2017年と比べて23.8%伸びた。

 一方、クメール・タイムズ紙によると、ダ市場は、両国国境から約300メートにある約2ヘクタールの土地に、ベトナム政府からの約200万ドルの援助により2018年に建設が開始された。フン・セン首相は、これは国境市場として最初の案件で今後数多く建設される先例となるものとして重要であり、その運営の失敗は許されないとした上で、チャン・ソポーン・トボンクモン州知事に対し、ダ市場を成功させなければ、辞任させる旨警告を発した。また、市場の開設は、麻薬取引その他の犯罪活動の温床を提供する機会ともなり得るとして、税関や入管職員に対し、仕事に専念することを求めるとともに、他方、市場で商売している人々の活動を阻害してはならないとも述べた。首相によると、ダ市場は、昔の戦場に位置しており、当時、自分は20回以上ここで戦った旨、思い出を述べた。

 首相発言の背景を窺わせるものとして、カンボジアのベトナム国境では密輸が続いているとの報道もある。カンボジアのベトナム国境では、カシューナッツやコーヒーなどの農産品が多く生産されているが、こうした農産品はカンボジア国内で加工されることなく密輸で国外に持ち出されているケースが多いといわれる。また、高級木材の違法伐採の報道の例も後を絶たない。

 国境地帯の経済開発は、密輸やカンボジア農家の搾取を防ぎ、公正な貿易を確立することを目指す意味でも重要になっている。

 

 

 

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