カンボジア中銀、再建から40周年を祝う

カンボジア通信 #11
2019年10月11日版

 カンボジア中央銀行が10月10日、フン・セン首相らを招き、再建から40周年を祝う式典を開いた。

 カンボジア中央銀行が設立されたのは、カンボジアが独立した1954年であるが、1975年からカンボジアを支配したポル・ポト政権が、原始共産制をめざし、貨幣の廃止を含め、既存の金融システムを根こそぎ破壊したため、1979年10月10日、同政権崩壊の10か月後に再開された中央銀行は、ゼロからの再建を強いられた。ポル・ポトは、プノンペンを陥落させた際に、資本主義の象徴として中央銀行の建物を先ず破壊したとされ、逆に、同政権を倒したヘン・サムリン政権は、同銀行の建物を先ず元通りに再建したとされる。

 10日の式典でフン・セン首相は、1990年になって漸く小額紙幣を印刷する能力を得たが、それでも、公務員及び軍人の給料を支払うだけの政府現金収入がそれから長期間不足していた等回顧した後、「カンボジアの金融セクターはこの40年間で大きく成長した。マクロ経済の安定から人々の暮らしの向上まで、金融セクターの役割はわが国の経済成長に欠かせないものになった」と、中央銀行をはじめとする金融セクターの成長を称えた。

そして、経済成長と経済の強靭性の強化を図る上における通貨の政策手段としての重要性を踏まえ、中央銀行が国民経済の中核として成果を挙げるために、政府関係機関に対してのみならず該当する場合には民間も含め、次の5点の措置を勧告した。

1.実効的な金融財政政策の下、カンボジアの通貨であるリエルの広範な利用を図るため、市場に則した一貫性のある慎重な方法によるリエルの利用促進を図る長期的国家政策の策定。

2.2016—2015金融セクター発展計画の着実な実施。

3.新規技術の導入による金融サービスの近代化、利用可能性の向上、廉価化及び効率化。

4.中央銀行その他の金融機関が引き続き、国民の金融に関する理解の増進、並びに金融サービスの利用者、就中、農村の利用者に対するリスクの存在等信用に係る問題に関する理解の普及について働きかけを継続すること。

5.中央銀行、経済財政省その他すべての金融関係機関、汚職対策ユニット、内務省及び司法省が、引き続き緊密に連携し、資金洗浄及びテロ資金対策を強化すること。

 中央銀行のチア・チャント総裁によると、過去20年の間に、カンボジア国内各銀行の資産は約4億米ドル余りから、約460億と、109倍にも、また、貸付は約1.7億米ドルから、約290億と、178倍にも伸びた。融資の主要な資金源は国内預金であり、預金口座数は貸付口座数の倍以上あり、このような進展は、カンボジアの銀行制度に対する投資家及び国民双方の信認を示している。中央銀行及び政府の施策により、この20年間でリエルの流通額は、毎年平均16%増加している。「中央銀行は、引き続きリエルの利用促進や、銀行間取引市場の活性化と効率化に取り組む。また、金融セクターを担う人材の育成に力を入れていく」と、述べた。



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