外国人労働者の医療サービス、無料化すべき

カンボジア通信 #5
 2019年9月18日版

 カンボジアで開かれているCLMVT5か国(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム、タイ)による労働閣僚会議で、フン・セン首相は9月17日、「カンボジアは、国内で働く外国人に無料の医療サービスを実施するべきだと考えており、他国で働くカンボジア人移民労働者にも同様のサービスを求めたい」と、発言した。

 会議は、「5か国の移民労働者の保護に向けて」というテーマで、シェムリアップで開かれている。フン・セン首相は、外国人移民労働者への医療サービスについて、それ以上の具体的な説明はしなかった。また、「無料サービスを相互に実施すること」を強調した発言ではあるが、今後の動きが注目される。

 カンボジアからは、隣国タイやベトナムのほか、マレイシア、韓国などにも移民労働者が増えている。特に国境を接する「域内先進国」であるタイには、建設業や農林水産業などさまざまなセクターでカンボジア人労働者が増えている。首都バンコクのスラム街には、カンボジア人労働者とその家族が暮らすコミュニティも存在しており、貧困や違法薬物、子供たちへの教育などが社会問題にもなっている。

 CLMVTの中では、圧倒的に「労働力供給国」であるカンボジアにとって、今回の首相の提案は各国で実現すれば、大きな意味を持つことになる。一方で、カンボジア国内の外国人労働者にも同様の措置を求められることになれば負担は大きくなり、さらに国内貧困層への手厚い対応を優先するべきだという声も高まりそうだ。



[日本カンボジア協会のご入会 ]
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