マレイシアのマハティール首相のカンボジア公式訪問

カンボジア通信#2
 2019年9月4日付

 マレイシアのマハティール首相(94)が9月2日から4日までカンボジアを公式訪問し、3日にはフン・セン首相と会談した。東南アジア諸国連合(ASEAN)の中でも長老格の2人の指導者は、両国の関係強化のほか、域内のテロ対策や南シナ海領有権問題、ロヒンギャ難民問題、北朝鮮核兵器問題などについて意見を交換した。

 フン・セン首相は、マレイシアがカンボジアの労働者を受け入れていることに謝意を表明するとともに、その協力強化について関係省庁間で取り組むことを慫慂した。また、両首相は、両国間の二重課税防止協定及び観光協力覚書の関係閣僚による署名に立ち会った。フン・セン首相によれば、両国は、防衛協力及び人身売買取締りに関する2つの覚書について協議中。また、両首相は、東チモールのアセアン加入について支持を表明するとともに、両国間の査証免除取極について協議した。

他方、マハティール首相は、両国関係が非常に良く、長年にわたって進展している旨満足を表明した。また、途上国は、決して返済能力を超えた借款をしてはならない、これは、一旦、他国の負債に頼ると独立を失うからである旨警告を発した。

 地元紙の報道によると両国の貿易関係は拡大しており、今年上半期の貿易額は3億米ドルを上回った。これは前年同期比で約45%増加した。また、マレイシアからカンボジアへの投資は2017年までに30億米ドル以上になっている。

 また、2日、マハティール首相は王立プノンペン大学で開かれた対話集会に参加し、集まった学生たちに「超大国とのASEAN的バランスのとり方」と題して講演をした。学生からの「カンボジアは、西洋式の民主化をするべきか、我々独自の方法でいいのか」という質問に対しマハティール首相は、「世界はどんどん狭くなっており、遠くにある国でも影響を受けざるを得ない。しかし、だからこそ私たちは自分たちの文化に誇りを持たなくてはならない。アメリカはカンボジアよりもずっと若い国なのだ。みなさんは、多くの西洋文明よりも古いクメール文明や自分達の考え方に誇りを持ちなさい」と、語りかけた。

 また、米中の対立についてマハティール首相は「巨象が戦えば、草は踏みつぶされる。カンボジアだけではなく、マレイシアだってその草のようなもの。だから踏みつぶされないために、我々アセアン諸国は団結しなくてはならない」と、語った。

 更に、米国を念頭に、超大国による小国に対する制裁は公正ではない、しかも、対象国だけではなく、対象国と商取引をしている第三国にも被害をもたらす、と非難するとともに、小国は誰にも制裁を科せないだけに猶更公正ではない、しかも、超大国は、人権や自由を標榜しながら、こうしたことを行っている旨述べた。

なお、この点に関し、フン・セン首相は、3日の両首相会談で対北朝鮮国連安保理制裁や大国による他国に対する制裁について協議した旨述べた。

 南シナ海については、マハティール首相は、中国は、自国に属するとしているが、それは、中国が主張しているだけであり、中国は、マラッカ海峡やホルムズ海峡とともに、南シナ海における航行の自由を保障しなければならないし、これは、アセアン諸国にとっても重要である旨述べた。

また、同首相は、別の機会に、カンボジアが、自国の利益を保全する立場から、南シナ海問題について中国寄りの立場をとるのは、理解できる旨述べた上で、他方、本件について、アセアンとして統一した立場をとるのが望ましいので、領有権を主張する国がカンボジアを説得することが肝要である旨付言した。

 

マハティール首相は、今回が3回目のカンボジア訪問であり、毎回、王立プノンペン大学を訪れている旨述べたが、最初の公式訪問は、25年以上前で、また、前回は、首相を引退していた2006年2月に、駐カンボジア日本国大使館の要請に応じ、同大学内に開設されたカンボジア・日本協力センター(CJCC)の開所式に出席するために訪問したもので、その際、フン・セン首相及び並み居る諸閣僚を前に、マレイシアの東方政策(日本から学ぶ政策)の経験について講演している。

 (なお、プノンペンポスト紙は、2018年5月にマレイシア人実業家に買収されている。)

(参考)マハティール首相カンボジア公式訪問に関する共同声明(英文)

 



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